軽井沢高原文庫

軽井沢高原「文庫」とありますが、いわゆる文書や図書をたくさん収蔵する書庫のことではなく、軽井沢にゆかりのある作家や詩人の自筆原稿や手書きの手紙、初版本など貴重なものが展示されている美術館というのか、約2万点を収蔵する文学館・収蔵庫・コレクション館です。
有島武郎、室生犀星、堀辰雄、立原道造、川端康成、芥川龍之介らの文学作品など、文豪好きの方には非常に興味深いかと思います。よって画家の絵画や彫刻などの美術品は一切ありません。
企画展、文学サロン、講演、朗読会なども開催されています。
美術館本館の建物は、別荘らしい浅間石の基壇の上に、近代的な鉄骨のシェルターユニットを載せ、開放的な空間となっています。展示室が2階にあり、傾斜地のため、2階の裏扉から敷地内の裏庭を散策できるようになっています。
また敷地内に本館以外に3つの建物が点在しています。(一つは道路を挟んだ敷地外?)
堀辰雄の旧軽井沢にあった別荘(内部公開)と、
有島武郎の別荘「浄月庵」と、
野上弥生子の北軽井沢にある別荘の離れ(書斎
それぞれが移築され、別荘の様子をご覧いただいています。
さらに前庭に立原道造「詩碑」が、裏庭に中村真一郎「文学碑」が 建立されています。

軽井沢高原文庫の本館
裏庭の中村真一朗の文学碑。

堀辰雄の軽井沢1412の山荘(スミス別荘)
堀辰雄が1941年(昭和16年)に購入した旧軽井沢の釜の沢の別荘です。4年続けて初夏から秋にかけて過ごしていました。軽井沢でもの古い建物の一つに数えられます。アメリカ人のスミス氏の所有でしたが、戦争で帰国することになって堀辰雄が譲り受けました。
良く燃える暖炉があり、炭で焚く風呂がありました。
厳しい冬を過ごすため追分に移ってから後、この別荘は戦争中住む家を失ったドイツの婦人が住んでいたこともありました。
1985年(昭和60年)にここに移築保存されました。

堀辰雄の軽井沢1412の山荘
室内に入れます。かなり古い建物で将来への保存がたいへんそうです。

野上弥生子の書斎・茶室「鬼女山房」
野上弥生子が北軽井沢大学村(旧法政大学村)で1930~80年代まで夏を過ごした別荘の離れです。茶室の造り。『迷路』『秀吉と利休』など長篇を多く残した野上は、一年の大半を北軽井沢で過ごしました。
1933年(昭和8)建築、1996年(平成8年)ここに移築保存されました。

野上弥生子の別荘離れ・書斎「鬼女山房」
鬼女山房の室内に入れませんが、覗けます。

有島武郎別荘「浄月庵」
有島武郎が1916年(大正5年)~22年まで夏を過ごした三笠にあった別荘です。
「信濃日記」他をここで執筆しました。
1923年(大正12年)6月、有島武郎が「婦人公論」の若い女性編集者の波多野秋子とこの別荘で情死したことで有名です。建物は父である武が明治末期に建て、父の死後、武郎が譲り受けてました。
夏の時期は一階でカフェが営業されていてクローズの時期は入れません。二階は狭いのですが、展示スペースとなっていて、当時の新聞記事などが拝読できます。
1989年(平成元年)に移築保存されました。

有島武郎別荘「浄月庵」
カフェ「一房の葡萄」は夏季営業

軽井沢高原文庫
住所 389-0111 長野県北佐久郡軽井沢町長倉202-3
電話 0267-45-1175
開館期間 3月から11月まで 休館日 は年数回、展示替え臨時休館。
開館時間 午前 9:00から午後 5:00まで
入館料  大人〔高校生以上〕800 円   小人〔小中学生〕400 円
ミュージアムセット券 大人〔高校生以上〕1,600円 小人〔小中学生〕800円
(軽井沢タリアセン・ペイネ美術館・深沢紅子野の花美術館入館を含む共通券)
団体割引  20 名以上 1 割引、100 名以上 2 割引
アクセス
タクシーの場合、「軽井沢駅」下車約10分、「中軽井沢駅」下車、タクシー約7分
バスの場合、軽井沢駅より町内循環バスで「塩沢湖」下車、徒歩約1分
駐車場は軽井沢タリアセンの駐車場を利用します。