アントニン・レーモンドの夏の家(ペイネ美術館)

アントニン・レーモンド氏(1888~1976年)は、チェコ出身の建築家で、プラハ工科大学卒業後に渡米し、フランク・ロイド・ライト氏のもとで学びました。
1919年、帝国ホテル建設のため、ライト氏と初来日。その後、日本に留まり、自らの設計事務所を立ち上げ日本を拠点として活動します。
1933年、自身の別荘兼アトリエ「軽井沢夏の家」を軽井沢の南ヶ丘に建築。
翌年1934年には、聖ポール教会(現在の軽井沢聖パウロ教会)を手掛けています。
主な作品は他にも、群馬音楽センター、東京女子大学、南山大学、聖パウロ教会、軽井沢第二スタジオ、新発田カトリック教会などあり、モダニズム建築の作品を多く残し、日本建築に大きな影響を与えました。

軽井沢の別荘兼アトリエは、「軽井沢夏の家」と呼ばれています。
その後、保険会社が保養所として所有した時期もありましたが、軽井沢タリアセンに移築され、
現在は、ペイネ美術館の建物として利用されています。

軽井沢夏の家の外観
伺ったときは、館内は通常期のペイネ美術館でなく、アントニン・レーモンド夏の家展が特別開催されていました。

設計の特徴として、
バタフライ屋根。(積雪のある軽井沢には不適だったと個人的に思いますが)
2階のアトリエ(執務スペース)には階段は無く、スロープのみ。
リビングの掃き出し窓は開放的になるように、芯外し(柱を窓枠の位置から外へずらす)。

2023年6月23日、国の文化審議会文化財分科会は、「軽井沢夏の家(旧アントニン・レーモンド軽井沢別邸)」を国指定重要文化財に指定すると文部科学大臣へ答申しました。
もし重要文化財に指定されれば、軽井沢町内では1980年5月指定の旧三笠ホテル以来の2棟目となります。

開口部が特徴的な「芯外し」です
開放的なリビング。軽井沢の別荘らしさそのものです。
2階へは暖炉スペースの裏側でスロープとなっています。

従業員が住込みで勤務していたようです。製図版は残念ながら当時のものではありません。

ペイネ美術館では、フランスの画家、レイモン・ペイネ氏(1908年から1999年まで)の作品を常設して展示しています。「愛と平和のこころ」をテーマに、原画、版画、ポスターなど、恋人たちがユーモラスに描かれた作品を鑑賞できます。
特にペイネ氏本人と軽井沢とは関係性が無いようです。

ペイネ美術館
住所:長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉217(軽井沢タリアセン内)
開館時間:午前9時~午後5時
入館料:大人[高校生以上]:1000円、小人[小学生以上]:500円
軽井沢高原文庫、深沢紅子野の花美術館とのセット券/大人:1600円 小人:800円
団体:20名以上は1割引 団体100名以上は2割引
■連絡先:tel.0267-46-6161、fax.0267-45-3663
■休館日:不定期。冬季休館あり。